ふたり輝くとき
「父上、僕はジュストのためにクラドール探しをしてるんだよ?1つくらい、僕のお願いも聞いてほしいんだけど」

ユベールは苛立つ心を悟られないよう、ニッコリと父親用の笑顔を貼り付けて言った。

同時に、抱きしめたサラがピクリと身体を震わせた。先ほどからユベールの発する声に敏感に反応を示すサラは……ユベールの“言葉”をきちんと理解しているらしい。

今朝、執務室で書類にサインをしているといつもサラの世話をしている侍女がノックもせずに入ってきた。たまたま書類を受け取りに来ていたクロヴィスが咎めるのも無視して、サラがダミアンの部屋に呼ばれたと捲し立てた侍女は真っ青だった。

(なんでだろーね……)

ユベールはすぐにダミアンの部屋へと駆け出していた。

サラがダミアンに抱かれようが構わない。

でも……きっと、サラは泣く。そう思ったら勝手に足が動いた。

この前もロランに抱きしめられていたサラ。

サラは、ユベールのお人形なのに。

なぜ、寄って集って奪おうとするのか。

扉を開けたとき、サラはユベールの前では見せたことがないほどに涙を流していて、またイラついた。それなのに「ユベール様」と、サラが自分を呼んだことが――
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