君と、世界の果てで
俺は背中で机を隠し、手探りで陸のスマホをつかんだ。
そして、引き出しに入れようとした時。
ぽとん
手が滑って、スマホはラグの上にに落ちた。
「何?いつのまにスマホに変えたの?」
紗江が目ざとくスマホを見つけ、取り上げる。
電源を入れ、待受画面を見て、サッと顔色が変わった。
「翼……何、コレ」
「違う、陸のなんだ。
今、忘れてって……俺のケータイはこれだろ、ほら」
俺は、自分の折りたたみケータイを紗江に差し出した。
しかし紗江は、スマホをつかんで離さない。
「もう一台持ってるんじゃないでしょうね」
「そんな事あるわけねぇだろ」
「ふうん……本当に陸君のなんだ……
この子、すごいおっぱい」
「あ、あれだ。陸の彼女。ボーカルの……」
「あぁ、あの美少女ね」
何で、俺は言い訳みたいな事をしてるんだ。
何もやましいことは無いのに。
「はい」
やっと、陸のスマホは解放された。
しかし紗江は、面白くなさそうな顔をしている。