君と、世界の果てで
先ほどの陸の言葉が、頭によぎる。
『俺も紗江ちゃんに告られたから』
あれは、本当に冗談だったんだろうか。
俺達はいわゆる幼なじみで。
陸は、誰からも好かれる容姿と性格で。
そんな事があったとしても、不思議じゃない。
「いつの間に、彼女できたのかなぁ」
ぽつりと、紗江がこぼした。
紗江は今風の美人で、性格も悪くない。
少々ワガママな所はあるが。
2年もつきあってきたが、どこが好きかと言われたら。
なんとなくとしか、答えられない。
「陸の事が、気になるか?」
「ん?別に、興味だけだよ」
茶色の長い髪が、彼女の肩でサラサラと音を立てる。
「なぁ……」
「なぁに?」
「俺が、またバンドやるって言ったら、どうする?」
ベッドの上。
紗江のすぐ隣に座って聞いてみた。
彼女は、眉間に皺を寄せた。
「……やる予定なの?」
「いや……もしもの話」
「なんだぁ」