君と、世界の果てで


事情聴取は簡単なものだった。


現場になったビルの駐車場で、加害者の外見について聞かれたり、現場を指差した姿を、写真に撮られたりした。


日曜だというのに、警察は休みがないんだな。


ぼんやりそう思いながら、ライブハウスの裏口で煙草に火をつけた。


ホームページの書き込みの事や、俺を呼んだという女がいた事を正直に話した。


しかし。



「加害者や、その女性に心当たりはありますか」



という質問には、わからない、と答えておいた。


それらが終わると、また連絡します、と、適当に追い払われた。



「……つっ……」



右腕の火傷は包帯を巻いていても、少し動かすと痛みを呼び起こす。


左手に煙草を持ち変え、息を吐いた。


煙は白く、寒い2月の空へ昇っていく。


そういえば、今シーズンはまだ雪を見てない。


やけに冷え込む。


もしかして、今日降るのだろうか。


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