君と、世界の果てで


それでも、今までの深音との幸せな記憶を手繰りよせて。


二人で何とか縫い上げた、パッチワークみたいな作品になった。



「本当だな。こっちは苦手分野だったのに。

職人の翼が帰ってきたか」



渚がニヤニヤしながら、フライドポテトをつまむ。



「ねぇ、曲が素晴らしいのはわかったけど、歌詞は?」



作詞を担当した深音が口を挟む。



「あぁ、良いけど……これ、ノロケじゃん。恥ずかしいよ」


「うっ」



意外と冷静に崇文に突っ込まれ、深音は言葉を詰まらせた。



「陸の方が才能あったな」


「ヒドイ!」


「え?弟君、詞も書けたの?」


「いや……俺も知らなかった」


「陸が書いた曲の詞は全部陸ですよ。

深音は女言葉に直しただけ」



ああ、だからか。


感じが違うと思ったんだよな。


今までだって、わりと陳腐な方だと思ったけど(ゴメン、陸)。


深音が書いた詩は、また一層……陳腐と言うか……ストレートだったのだ。

< 349 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop