君と、世界の果てで
よく見ると、陸の長い睫毛は、少し濡れているようだ。
太陽に当たって、キラキラと光を返す。
カラコンをしたブルーの瞳が、ゆらゆらと揺れる。
「今……そこで、猫が死んでた」
「はぁ?」
「車にひかれたのかなぁ。
この前、俺に寄ってきて。
可愛いなあって、言ったばかりなのに」
「……」
陸は、うつむいたまま、ぽつりと呟く。
まるで、独り言のように。
「だから……いつ、何があるか、わかんないって話」
「そりゃ、誰だってそうだろ……」
いい言葉が見つからなくて、舌が回らなくなった。
やはり、様子がおかしい。
昨日からか?
いや、それより前から、おかしかったのか?
「わかったって、言ってくれたら、安心するから」
「そうか……わかった。
お前、何か悩んでんのか?
話ならいつでも……」
「大丈夫だよ。あくまでも、もしもの、話だから……」
陸はやっと顔を上げて、ニコリと笑った。