君と、世界の果てで

仲間と酔って、カラオケに行くくらいなら、できる。


ただ、大勢の観客の前でなんて……


目立ちたくないから、ベースなのに。



「ベース弾きながら歌ってる人、いくらでもいますよね」


「いるいる、たくさんいるよ。

どうだろう？

君達の曲を全部、堺沢君のキーに合わせてアレンジして。

詞も、男言葉にしてみて。

何回かライブしてみて。

評判が良かったら、またメジャーデビューについて、話し合うっていうのは」



社員は、アホな崇文にもわかるように。


幼稚園の教諭のように、ゆっくり、丁寧に提案した。


崇文は、目をキラキラさせて、すぐに返事をした。



「やります！」


「できんのかよ！

ってか、マジで俺が歌うのかよ！」


「まぁまぁ、タダだし、一回やってみようぜ、翼」


「キャラも良いねぇ。

じゃあ、またライブが決まったら呼んでね」