君と、世界の果てで
確かに、ケーブルを何重にも巻き付けたような痕がある。
「これは……ケーブルの痕じゃない、ですよね」
喉に交差する、ケーブル一本よりも、すこし太い痕。
「あぁ……ケーブルを何重かにして、つるしますよね。
そこに、踏み台を使って、首をかけるんですが。
何重にもしたケーブルを、手で束ねながら、するわけです」
中年の刑事は、想像のケーブルを、首の前でつかむ真似をした。
「こうです。
で、一瞬ためらうと、この指が、一緒に挟まってしまいます。
その痕でしょう」
すると、指の関節側が首に食い込んだってことか?
指の腹で押さえつけなくても、こんな痣ができるっていうのか?
「それで……こんなにくっきり、痕が付きますか?
弟は、誰かに首をしめられた後、吊るされたって可能性はありませんか」
素直に疑問をぶつけると、
中年刑事は、面倒くさそうにため息をついた。