君と、世界の果てで
俺は、思わず陸の耳に顔を近づけて怒鳴った。
「テメェ、何してんだよ!!」
兄貴のバーカ、騙されてやんの。
そう言って、起きる気がしたのに。
冷たくなった陸は、寝顔を天井に向けたまま。
動かない。
「ちくしょう……!!」
陸の顔の横に、拳を降り下ろした。
ライダースジャケットの袖に着いたベルトの先が、ぺちっと間抜けな音を立てる。
「…………?」
ベルトが当たった首を見ると、細いひもが巻き付いたような痕があった。
それとは別の、細い棒状の赤い痕が、喉の所に残っている。
「これ……何ですか」
刑事が、指差された喉の痕を確かめる。
「んん?」
「弟は、何で首を吊ったんですか?」
「ああ……あれです。
エレキギターと、アンプをつなぐ……」
「ケーブル……」
「そう、それです」