君と、世界の果てで


「あの……今日の練習、録音していいですか?」



2週間後、個人の真面目な練習の甲斐あってか、だいぶ形になってきた所で、崇文が言った。


深音との関係を断ってから、既に1ヶ月が経とうとしていた。



「何で?」


「自分のアレンジを、客観的に聞きたくて。

本当に、自信ないんです」


「なんだ、今更」


「まぁ良いだろ、翼。

お前も自分の歌を自分で聞いてみろよ」



別に反対しようって気はないんだが。


最近崇文が妙に沈んでいる気がするのだ。


自分のバンドを、俺達に乗っ取られたような気分なのかもしれない。


オリジナルメンバーは、もう崇文だけだったから。


その日の練習を終えると、崇文は、人数分CDにして渡します、と音源を抱えてそそくさ帰っていった。


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