君と、世界の果てで
「そんな事、言ってない。
今更、間抜けなコピーはやりたくない、オリジナルをやりたいって、言っただけ」
おお。
深音のタメ語、初めて聞いた。
じゃ、ない。
「いきなり何曲もオリジナル書けるわけないし。
今ある曲を弾けそうなの、翼さんしかいないじゃん」
「迷惑に決まってるでしょ。
翼さん、すみません。
あたしは、やめろって言ったんですけど、この人聞かなくて……」
「だってこいつ、ワガママなんだ。
下手なベースじゃ歌わないとか言うし。
ちょっと可愛いからって、調子に乗ってるんです」
「そんな事、思ってない!」
赤くなって声を荒げる深音を見て、俺は思わず笑ってしまった。
「兄妹喧嘩してんじゃねぇよ」
「笑い事じゃないですよ。
こいつまで、歌やめるって言い出して」
「はぁ?」
崇文に言われて、深音は、気まずそうにうつむいた。