君と、世界の果てで
……そうか。


深音は、陸以外のベースで、歌う気は無いんだ。



もう、二度と。



「勿体ねぇな……」



ボソッと言った俺の言葉に、深音がピクリと反応した。


顔を上げて、口を開く。



「翼さん、ハッキリ断ってやって下さい。

そうすれば、諦めるでしょうから。

あたしは、翼さんに迷惑かけたくないんです」



迷惑か。


確かにな。



「……悪いけど、俺は、歌姫のお気に召すようなベーシストは、知らねぇ」


「そんなぁ」



でも。



深音が歌わなくなるのは……もったいない。



「……陸のやってた通りに、弾くだけでいいのか?」


「へっ?」



崇文が、間抜けな声を出す。



「俺で良いんだろ、お前は。

なら、俺が弾く」


「はい!?翼さん、マジで!?

やってくれるんですか!?」



崇文が勢い余って立ち上がり、足を思いきりテーブルにぶつけた。

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