復讐


全ての授業が終わると教室に戻った。わたしが教室に入ると決まって空気が変わる。


「おい、お前伊藤のこと好きなんだって?」


突然、荻野がわたしに聞いてきた。

わたしは訳がわからず何も答えずにいた。


「答えねぇってことはこいつマジだぜ?」


荻野は楽しそうに叫んだ。それと同時に教室はざわめきだした。


「マジ、キモいんだけど。」


「伊藤かわいそう。」


「伊藤に迷惑だろブス。」


当然のことながら、わたしは伊藤という男子を好きではなかった。むしろ嫌いだった。

伊藤はクラスでリーダー的存在だった。みんなは伊藤の機嫌ばかりを伺っていて、王様気取りだった。


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