天国のマシュに会いたい
私は心の中で叫んでいた。

そして、もう一度マシュの身体に触れた。

数分後、葬儀社の人が
「お見送りは、そろそろ、よろしいでしょうか」
と私たちに訊ねたので、私たちは頷いて
「お願いします」
と答えた。

葬儀社の人が車に乗り込み、ゆっくりと別れを惜しむかのように走り去ってゆく。

あんなにも私を慕ってくれて、親娘のような関係であったマシュが去ってゆく。

車は徐々に走り去り、ついに私たちの視界から消えた。

千恵子は車が消えて見えなくなると、泣きながら家に入って行った。

私は少しの間、立ちつくし、車の走り去った方向を見つめていた。





「マシュー」





私は思いっきり叫びたかった。

心をむなしさに支配され、涙だけが、ぼろぼろと、いつまででも流れ落ちてくる。

そして心の中で、マシュの名を呼び続けながら、私も玄関に向かって歩き始めた。

時々、車の走り去った方角を見ながら、家に入って行った。
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