天国のマシュに会いたい
クロとミルは、私が、まだ子猫の頃からテーブルに上がったりした時に、厳しく躾をしたので、私が怒ると、すぐに言う事をきく。

その私がマシュのすぐ後ろについているからであろうか襲っては来ない。

ただし、じっとマシュを見つめたまま、目をそらすことはない。

少しクロやミルと接近して、ミルが椅子から床に跳び下りた。

「いかんで、喧嘩したら」
千恵子がミルに話しかける。

私がもしも喧嘩を始めると、すぐに止めようとマシュについているところへ、少しずつミルが近づいて来る。

ミルも子猫とはいえ、そうとうマシュを警戒しているのであろう、ゆっくり、ゆっくりと近づいて来る。

そして、ついに鼻と鼻を近づけあって、お互いに匂いを嗅ぎあい始めた。

私はミルが手を出さないかと緊張していたが、もともとミルは臆病でおとなしい猫であり手を出さなかった。

すると突然に、マシュの方が
「カァー」
と威嚇の声を上げ、ミルが一歩引き下がった。

ミルがマシュを見ながら、ゆっくり、ゆっくりと引き下がっていく。

その間、クロは、その様子をじっと見つめたまま動かない。

普通は以前から家で住んでいた猫の方が、威嚇して喧嘩をして新参者を排除しようとするのである。

少なくとも今までの経験では、そうであったし、クロとミルも初めて家に来た時には、それまでに家で飼われていたリンという今は亡き猫に、ころころまいに、されたのである。
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