天国のマシュに会いたい
雨の日以外はハーネスを取り付け終えるとマシュと玄関から庭に出た。

玄関のドアは、もし何かのときにハーネスが取れてもマシュが家の中へ入り込めるように開けっ放しにして散歩をしていた。

ここらは夕方に犬を散歩している人が多くいる。

そして私の家の前の突き当たりの道路にも犬を連れて入って来て、突き当りのあぜ道沿いに去って行ったり、またはその逆の順路で通る人もいる。

もし、その散歩している犬と出会うとマシュが犬に驚いて暴れてハーネスを外し、家の中に逃げ込もうとするかも知れないし、家の前を通過する車に驚く可能性もある。

だからマシュを散歩させる時はいつも玄関を開けたままにしておくのだった。

ところがマシュは散歩している犬に驚くことは無かった。

大小、色々な犬を連れた人々が通過するが平気であった。

時には、大きなゴールデンレトリバーを連れた人が通り過ぎると、その後ろをついていったりする。

その犬が振り向きマシュに気づくと立ち止まり、マシュをじっと見つめる。

マシュは平気な顔をして近づこうとするが、私が持っているマシュのハーネスを絞って持ちマシュを止める。

一緒に外へ出て庭で居たクロは飛ぶようにして逃げているのにマシュは知らぬ顔である。

不思議な猫であった。
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