結婚しました!
「え??

 それじゃ好きだったのいとこの忍くん。」

音々はぷうっと頬を膨らまして、

「違いますよ。」


踵を返して歩き出す音々。


いつもより、感情的な音々は新鮮だ。


俺は慌てて追いかけ、


「え?まさか伯父さん?まさかね?」


と問いかけると、

また足を止め、

泣きそうな顔をした。


「もぉっ教えてあげません!」


「音々?ごめんでもふざけてるわけじゃ…」


「私は、お父様以外の男の人で、

 好きになったのは八起さんだけです。


 だから、私の初恋は八起さんです。」


「え?」


「私の初恋は八起さんです!」


言葉を失う俺に、心配そうに聞く。


「28で初恋なんて変ですか?」


いやいや、それって、いいのか俺で…

俺は真っ赤になって後頭部を掻いた。



「俺やばい…かも。」

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