結婚しました!
「すき焼きとかけて、…」

タクシーの中で俺の方に寄りかかっていた音々がぼそりという

「なんだ?」

「なぞかけです。

 TVでやってました。

 『すき焼き』とかけまして、八起さんのお家と説きます。」


「へ~、その心は?」


「みんな一緒に仲良く入ってて、温かくて甘い香りがする。


 素敵なご家族ですね、

 小さい頃から憧れた、そんなおウチでした。」


俺はそんな音々の頭をぽんぽんと叩いた。


「お前も今日からすき焼きの中の一員だな?」

「え??」

「このまま、役所に提出するぞ。

 その瞬間から音々は野村音々だ。」


「今日ですか?だってもう遅いですよ?」

「婚姻届けと出生届けは24時間受けつけてくれんだ。

 保証人の欄も埋まったし、もう待つ必要ないからな。」


「わあ、ドキドキします。」


「俺もだ。」


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