結婚白書Ⅲ 【風花】


10年ほど前だったか 私が入省して2年目の頃

夕紀さんと仲村さんの恋愛は 当時 ずいぶん噂になった 

彼女が年上と言うことと 婚約者がいるのに仲村さんと恋愛関係になったこと

そして 夕紀さんの婚約者は仲村さんの上司だったのが原因か 

その後 仲村さんは局内で不利な立場になったと聞いた



「奥さんと別れるつもりか」


「まだ そこまでは考えていません 

ただ……妻と気持ちが離れているのも確かです」


「君の場合 子どももいる そう簡単にはいかないだろうね」


「えぇ……」



桐原さんへ向いてしまった私の気持ちは 抑えても募るばかりだった

しかし その想いを彼女に告げることは 許されないと知っていたのに

彼女と想いを打ち明けあったあの日

”元の私たちに戻ろう” と言ったのに……

 
仲村さんの静かな問いかけに こんなにも 彼女を恋しく求めている

自分に気がついた



彼女への想い

それを貫くことは どういう事態を招くのか わからないわけではない

仲村さんの言葉が ひとつ ひとつ 胸に突き刺さる
 


「遠野君は知っているのかな? 桐原さんのお父さんは 3年前まで 

私の課の課長補佐をされていた方だ 私達のOBだよ」



その言葉は 私を驚愕させた





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