鳥かごと処女
亮一郎は驚いたが、セードルフが自分をロマかと聞いたわけが分かった。ロマは黒髪だからだろう。
「ロマではありません。」
「リョウイチロウは東洋人だ。歳は・・・」

「18です。」
「「18?!」」

今度は2人が驚く番だった。
確かに年齢は聞かれなかったから言わなかったが、ここまで驚く事だろうか。

「もっと子供かと思っていたよ。東洋人はわからないな。」

笑いながら、牧師は驚いた事を謝罪した。
別に謝罪はいらなかったが、とりあえず返事をする。

「じゃあ、僕と同じだ。改めてよろしく、リョウイチロー。」

亮一郎とセードルフは握手し、3人は歩き出す。
セードルフはどうやら、牧師が行き倒れていた少年を連れてくると聞いて、走ってきたようだった。
その少年とも会えた彼は、満足した様子で、亮一郎の前を歩いている。
重たい礼拝堂のドアを開けると、冷たい空気が狭い廊下に流れ込んだ。
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