鳥かごと処女
この食材も、いつなくなるか分からない。
教会の畑で育てている作物も、なかなか実ってくれないと、セードルフが悩んでいた。

「この飢饉が終わらないとな・・・早く暖かくなって欲しいよ。」

いつもよりも寒い冬なのだと、亮一郎は聞いている。
「リョウイチローの住んでた国は、飢饉じゃないのか?」
聞かれて、慌てて考える。

1610年、日本では何があっただろう。
確か、江戸時代前期のはずだ。

「飢饉じゃないけど・・・でも、あんまり変わらないよ。国の偉い人が変わっても、農民の生活は一緒。」
「どこもそんなもんか・・・」
はあ、と溜め息を吐いて、暖炉からナベを外した。
今日の夕食は、このスープと、硬いパン。あとは、チーズがひとかけら。
それだけで腹は膨れないが、食べられないよりはましだ。むしろ、これでもきっと、豪華な方だろう。
食べられるありがたみを、亮一郎は身を持って知った。
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