first love【完】

『泣かせた』竜斗side



彼女のクラスまで一緒に歩いていくと、まだ周りはコソコソしてる。


俺は慣れてても星谷さんは違うんだから、止めて欲しがった。


廊下にマサを見つけ、目で『頼む』と訴えて、頷いたマサをみて、星谷さんに「じゃあね」といって、自分のクラスに戻った。


…*…*…*…*…*…*…


さっきは、星谷さんに悪いことをしてしまった。


思い返してみれば、同じクラスだった去年の星谷さんは、一人でいることが多く、お弁当も自分の席で静かに食べていた。


クラスメイトはわざと避けているわけではないんだろうけど、勉強で聞きたいことがあるときや、頼みごとのときくらいしか、話しかけていなかった覚えがある。


そんな大人しい星谷さんが、きっと、今まであんなにジロジロと見られ噂されることはなかっただろうし、それは、確実に俺やマサと居ることで起きたことだ。


廊下では、彼女に聞こえたか定かじゃないが…「あんな地味な子 」とか「付き合ってるとか間違い」とか好き勝手なことを言ってた。


食堂では席ばかりに気を取られ、普段は来ないだろう彼女と離れてしまって、危うく転ばせるところだったし、あのとき、急に顔を歪めたのは…何か言われたのかも…。


そんな状態の彼女にさらには、二人していきなり名前を呼んでくれと、結構な声でお願いしてしまったんだ。



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