first love【完】


翌水曜は朝練のため、お昼まで会わない。


私は実は、月曜の夜からあまり食欲がなく、自分のお弁当箱をかなり小さくしていた。


竜のと、申し訳程度の自分のを持ち、体育館裏に向かおうとしたら、また、メール…。


“ごめん、昼に用事があって弁当だけ取りに行くね”


そして、すぐ後に取りに来て「今日も帰り用事がある」と言って食堂のほうに走っていった。


その、廊下の先に下田さんが立って待っていたのが見えた。


…*…*…*…*…*…*…


私は自分の小さなお弁当を食べずに、中庭に向かった。


二日間ほとんど食べていなかった。


でも、私にはそれはあまり問題ではなく…


『私ではない人が隣に…』


『私なんか何もない人間だから嫌になった』


そう考え出したら、負の感情、負の思考に深く入り込み、嫉妬と敗北感と屈辱感と入り交じり、私が私でないような、そんな状態になっていた。


チャイムがなり昼休みが終わったことにも気がつかずにただベンチに座っていた。


そして、そのまま、気を失った。


…*…*…*…*…*…*…


気がつくと私は保健室で寝ていた。


「あの…」


声を出すとカーテンが開き真凛ちゃんが微笑んでいた。





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