幸せの選択
フーッと息を吐きながら立ち上がり、グルリと自分の部屋を見回す。


一人暮らしした時に初めて買ったローテーブル。
初めてのボーナスで買ったファイヤーキングのカップ……




一つ一つ時間をかけてゆっくりそろえていったもの達


どれもその時々の思い出がたくさん詰まった物


なのに――


この部屋に自分の置き場が見つからなかった。




ガタンと何か物音がした。
ビクリと体が跳ね上がった。ゆっくりと振り返ると――



「フゥー」


何もなかった。
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