幸せの選択
遅れてJ-styleに着いた私たちは、通された会議に入るとその場にいた全員の注目を集めてしまった。



「ああ、すみません。先ほどお話しした別件で遅れました三島と岡本です。二人ともボーットしてないで早く席につきなさい」



部長の声で、私たちは席に着こうとする。
だけど、私を捕えた視線の一つが、すんなりと着席させてくれなかった。





「ああ、三島君じゃないか。あれ?今度はこちらにお世話になっているの?」





J-styleの部長が私の顔を覚えていたようだ。
しかも、私の親気分での口ぶりに、正直カチンと来るものがある。






「あ、はい。楽しく仕事させてもらってます」


「そうか、私も心配していたんだよ?君みたいな子たちは不安定な身分だからね」




部長は悪い人ではないんだと思う。
だけど、無意識とはいえ人のことを傷つけてよいということは無い。





「あの――」



頭に血が上った私を寸前で止めてくれたのは長谷さんだった。





「こちらで育てていただいたおかげで、三島は今やウチの即戦力ですよ?もちろん正社員です」




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