サクラサク(地味っ子②)

「さくちゃん、いらっしゃい。ぼくのてがみとどいた?」

満面の笑みで、

「もちろんよ。クリスマスの招待ありがとう 海くん」

そう言って、ハグしている桜

俺は、ぶしつけにも彼を見ていた

年は7歳くらい

しかし、足は動かないのか、車椅子の足置きに置かれたまま

手も、不便なようだ

そして、なにより言葉がきちんと発せられない

「私の息子、海、こちら桜の恋人松平蓮さん。挨拶して」

ウインクしながら、あかりが言うと

桜は何か言いたそうにしているが

「はじめまして、ようこそ。ぼくは、あやせうみです。7さいです」

そう言って、動く方の手で握手を求めた

俺も近づき、膝を折り

「始めまして、海くん。今日からよろしくね」

握手をしながら、挨拶をした

それから、桜とツリーの飾りつけをするために

部屋の隅に移動したのを見て、あかりはお茶を勧めてくれた

この部屋というより、家の家具どうしが異様に距離を取って置かれて

いたのは、車椅子で、海が動きやすいようにという配慮だった

それから、あかりは桜との出会いについて語ってくれた
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