大切なもの
歩き始めて約20分経過…
昼の1時を回って、一日の中で一番暑い時間が続いていた。
「ふう、暑い…、○○アパートのここらへんの棟なんだよね?」
「うん。ここらへん…」
「確実に分かんないから、待ってようかあ」
「え、こんな暑い中で!?」
「いや、そこの日陰で。」
「楓ちゃん…、ここまでしてもらって本当にごめんっ…」
「いいのいいの!私そういう理由なら全然協力できるから!」
「本当に、ありがとうっ…」
「あはは、全然いいから。もしよかったらキーホルダー見せてくれる?」
「うんっ!」
そう言い、キーホルダーを見せると笑顔で「可愛いじゃんっ」と言われた。
私もニコーっと笑い、「本当に楓ちゃんには救われるよ」と言った。
…と、その時
サッカーのTシャツに黒い短パンを着て、チャリに乗った見覚えのある姿が目の前を通り、坂を下ろうとしていた。
慎二だった。