コメント屋
「何ですかこれ。どちらも同じじゃないですか?」

「兄ちゃん…よう見てよ。ここ、フリガナふってるやん。兄ちゃんの目は竪穴か?」

「・・・・・」

「そこ、式住居じゃねーよとかやろ、普通」

「式住居って…ああ、竪穴式住居ですか?なるほど、ありましたね。」

「兄ちゃん、感心してどうすんねん。ただのボケやがな」

女がため息混じりに言う

「すいません…」

「大体、さっき黙って入ってきたやろ?あそこ普通はお邪魔しまーすとかって入ってこんかいな。でないと、こっちも邪魔するんやったら帰ってんかーって言われへんやろ」

男は今すぐ帰りたくなった

「っでほらここ、見て」

さっきの紙を凝視すると…


カラ
ツラ


と確かにフリガナがついていた

『カライとツライってどんなコメントだよ…』

男は心の中で呟いた

が、実際は声が漏れていたようで

「どんなって、そら、こう練って練ってトローっと流し込んで…」

「それはセメント…」

「おっ、お兄ちゃんやる気でてきたやん。ただもうちょっと声張ってよ、せっかくのボケが死ぬわ」

「・・・・・」

「っで、どっちにする?早よ決めて」

きっと、このままでは帰れないと思ったのと、女に急かされたのとで思わず

「じゃあAコースのカライで…」

嫌々男は言った

「だから何なん、さっきから。じゃあじゃあって、ご飯カチコチなりますーってか?」

「もしかして、炊飯ジャーの事?今時、いませんよジャーなんていう人」
< 2 / 8 >

この作品をシェア

pagetop