【短編】絡まる糸
「おかえり。遅かったじゃない」


イスをひく音のあとに、パタパタとスリッパの音が近づいてきた。



「……紹介するね。こちら、キザキトオルさん。で、こっちが妹の──」



ほら。



普段と変わらないお姉ちゃんの声のトーンが、気づいていない証拠。



拾ったケータイを胸の前で強く握り締めた。




“トオル”なんて、あたしは知らない。
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