禁断の果実
*近づいた距離*
「美咲ー、帰るよー」
カバンを持って真海と沙絵子があたしを呼んでいた。
真海と沙絵子は中学の時からの同級生。消極的なあたしに2人は声をかけてくれて
あたしがいいように使われているとすぐに助け舟を出してくれる。ちゃんと対等に見てくれてるんだ。だからあたしは2人が大好き。
「あっ、待って・・・」
あたしもカバンを持って急いで教室を出ると
その勢いで何かにぶつかった。
「わっ・・・・」
ぶつかった衝撃で、後ろに倒れそうになると
何かに支えられて最後まで倒れずに済んだ。
「・・・・大丈夫か?」
あたしの体を支えてくれたのは、和泉先生だった。
あたしは先生の綺麗な顔を見た瞬間、心臓が大きく高鳴った。
1年の時からずっと見てきて・・・
2年になって担任になれたことの嬉しさ・・・
でも・・・こんなに先生に接近したのは初めてだ。
「あ・・・・あの・・・はい」
先生に支えられているという事実と
こんなに間近にある先生の顔
もうそれだけであたしの体は固まってしまった。