恋とくまとばんそうこう
「かわいーっ!」
「ええーなんで?!」
黄色い声が練習中なんて関係ないとばかりにグラウンドに響く。
一際声の大きい子の発言に、
澄香はピタリと動きを止めた。
「なんか好きな人に貼ってもらったらしいよ!」
「なにそれー!滝井さんとうとう彼女出来ちゃったの?!イヤーッ!」
「アハハッ!私は松浦さん派だから滝井さんに彼女出来ても平気だけどー?でもクマちゃんなんてやっぱり可愛いーっ」
…。
……。
え?
「きゅーーけーーい!!」
野太い監督の声に、汗だくの男子達がぐったりと散らばる。
澄香は自習練なんてそっちのけで、グラウンドを凝縮した。