恋とくまとばんそうこう

どうやって帰って来たのかほとんど覚えていない。


ガツンと脳を揺さぶった衝撃は自分のベッドに転がってもまだ波紋を作ったままだった。

案の定色々からかわれた記憶やそのあと普通の練習に戻った記憶はうっすらと残っているが、俊は魂ここにあらず状態だったに違いない。

“千葉っち!あんたの大好きな滝井君があんな所で告られてるよーっ!”


“あんたの大好きな滝井君が”


…っ!


俊は、今まさに自覚したようにバッと顔を大きな左手で多い、頬を赤らめた。

千葉が、

あの千葉が。


俊は初めのワタワタと絆創膏を貼り付けて来た彼女を思い出す。

彼女の、白くて折れそうなのに柔らかそうな手首を思い出す。

勤勉なペンのリズムを、誰の記憶にも残らないような大人しい後ろ姿を、思い出す。

「……はぁ。」

俊は自分を落ち着かせるために、出来るだけゆっくり息を吐き出した。



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