Treasure in Paradise【Brack☆Jack2】
第2章
【1】






 手紙に書いてあった住所は、山の麓の小さな村の中だった。

 都会や薄汚れたダウンタウンとは違い、静かで空気がき れいな場所だった。

 あちこちの畑で仕事をしている農夫に紙を見せて、エイジはある一軒の小さな家に辿り着いた。

 ドアの前で立ち止まり、軽く二回ノックする。

 だが、中からの返事はない。


「………」


 ドアノブに手を掛けると、鍵は掛かっていなかった。

 というより、鍵すらついていないドアだったのだが。

 部屋の中は思ったより片付いていて、キッチンに備え付けてある釜戸には、まだ小さく火がくすぶっていた。

 まるで、さっきまで人がいたかのように。

 エイジはリビングに戻り、部屋の中を見渡す。
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