オレンジジュース~俺と一人の生徒~
ずっとずっと悩んで、
やっと今日言おうと決心していたと言うのに・・・
見られてから言うなんて言い訳っぽくて嫌だ。
「うわぁ・・・あぁ・・・もう嫌だぁ。俺の話から先に聞いてくれ。」
俺は、無理して明るく振舞う直の肩に手を乗せた。
「今から、真剣な話をする。ずっと、言おうと思っていて、でもなかなか言えなくて、今日お前にちゃんと話そうって思ってたんだ。」
直の瞳の中にはもう薄っすらと涙がにじんでいた。
俺が浮気をしているとでも思ったのか、直は俺の手を振り払った。
「信じてたのに・・・先生のこと、本当に信じてたのに。」
直は、俺の目を見ようとせずに、部屋から出ようとした。
「違う。違うんだ、直。俺は、お前に隠していたことがある。でも、今俺が愛してるのは直だけなんだ・・・わかってほしい。」
俺が力なく握った直の手は、悲しそうに震えていた。