オレンジジュース~俺と一人の生徒~
俺の心配が的中した。
直が、俺の視界から突然消えた。
よろよろとこけそうになった瞬間に、左の崖の方に落ちた。
「今、誰か落ちたよね?」
隣の生徒がそう言って、俺の腕を掴んだ。
「あぁ、俺、助けに行ってくる。」
リフトが遅くて、イライラした。
超高速で動いて欲しいと願った。
俺は、ここから飛び降りて、直の元へ飛んで行きたいと思った。
今すぐ、直を助けたい。
俺をスーパーマンだと言った直・・・
俺が助けなきゃ。
大丈夫か…
直、けがしてない?
誰も直がいなくなったことに気付いていないようだった。
中田も里田も、スキーが苦手で、みんな自分のことで精いっぱいだった。