オレンジジュース~俺と一人の生徒~
見回りをしていても、俺は落ち着かなかった。
どこかで、今山崎と直が話しているかも知れないと思うと気が気じゃない。
直は、結構モテるのに、今まであまり告白をされた経験がない。
結構鈍感だからなぁ・・・
きっと、『全然気付かなかった』って、山崎の告白に驚くだろう。
どんなに自信があったって、嫌だ。
俺以外の男を選ぶことがないとわかっていても、嫌だった。
誰かに好きだと言われれば、直の心の中に違う誰かの場所ができる。
明日から、直の心の中で、山崎が動き出す。
山崎と付き合えば、堂々と手を繋げるし、一緒に帰ったり、一緒に遊んだり、高校生らしいことがいっぱいなんだ。
なぁ、直。
今、どこで何をしてる?
本当なら、今すぐお前の所へ飛んで行きたいよ。
そして、お前を抱きしめて、どこかへ連れ去りたい。
直は、俺だけの直だから。