オレンジジュース~俺と一人の生徒~
しばらく歩くと、ナイタースキーをしたゲレンデが見えた。
「直、あそこ見て。綺麗だろ~!俺、あそこ滑ったんだぞ!」
「すごい!!ロマンチック!!私も参加すれば良かったかなぁ・・・」
直は、瞬きもせずに俺の指差した方向を見つめていた。
「いや、お前は参加しなくて良かった。夜はもっと危ないから心配だ。今日も、リフトから降りたお前が転んでいくのをどんな想いで見てたと思う?」
直は、恥ずかしそうに笑って、俺の腕を叩いた。
また俺達はゆっくりと歩き出した。
このペンションの周りを1周したら、俺と直との秘密のデートは終わり。
俺も直もそれがわかっていたから、歩きたくなかった。
「先生?」
「ん?」
振り向かず、俺は立ち止まった。
「先生・・・好きです。」
直・・・
このタイミングで言うのは反則だろぉ!
絶対抱きしめてしまう。
気持ちを落ち着かせて言う。
「知ってる。」