~玉の緒よ~
いつも通り鞄から本をだして窓際の自分の席に座って読みふけること約8分・・・
少し駆け足の足音が聞こえ顔を上げると同時くらいに教室の扉が大きな音を立てて開かれた。
「はぁはぁ‥ちょっ…と…はぁ…来て‥はぁ…もらえる?…」
息が上がったままの担任…陽ちゃん先生に呼ばれたから立ち上がり先生の前まで行った。
彼女の名前は 神崎 陽(かんざき はる)
私のクラス2-Aの担任でまだ23歳という若さ。
綺麗系なのに中身はすごくかわいくて生徒に〈陽ちゃん〉の愛称で大人気
もちろん私も陽ちゃん好きの一人
でも、〈陽ちゃん〉って呼ぶと「先生って呼んで…」って泣きそうな顔でいうから〈陽ちゃん先生〉と呼んでいる
そんな彼女が息が上がるほど走ってこんな私に何の用だろ?
『陽ちゃん先生?大丈夫ですから、息が収まってからでいいですからね』
そう声をかけてからたっぷり1分以上とってようやく息が収まった様子
「賀斎さんありがとね。ちょっと急いでてつい走っちゃって…息が上がっちゃってね…」
陽ちゃん先生らしい…
『ところで…どうしたんですか?そんなに急いでまで…』
そう。それが本題
「あぁ!!危ない!忘れかけてた!今日ね転入生が来るんだけれど‥」
と話ながら手招きされてついて行った。
方向的に職員室に向かってる感じかな…
陽ちゃん先生によると今日2-Aに転入生が来るらしい…
職員室に今いて、朝から陽ちゃんが学校内を案内しようと思っていたのに時間がなくて無理らしい…
それで、同じクラスの生徒会役員の私が呼ばれたわけだ…
『Aクラスに転入生なんてめずらしいですね』
「そう!加斎さんと良い勝負になるかもしれないよ!がんばってね」
と私に応援すると陽ちゃんは職員室の扉をちょこっとだけ開けて転入生を手招きした。
私はその間、どこから案内しようかを考えていた。