オオカミ系幼なじみと同居中。


優しく微笑む要。

要はそう言って、ゆっくりと立ち上がった。




あたしから視線を落とすと、要はその距離を埋めた。

要の足が床を擦る音がするたびに、あたしは苦しくて…苦しくて…

涙が溢れるのを必死に堪えた。




『不安にさせてごめん』




その言葉が……





『これで満足?』




そう言ってる気がして……




だんだん見えなくなる要の顔。
歪んだ視界。

頬に一粒涙が零れ落ちた瞬間――…




要はあたしの部屋を静かに出て行った。




「…………」





あたし、要になにを言わせたんだろう…


欲しかった言葉。


望んでた事なのに…



違う気がする。



……要にそんな顔させたい訳じゃないの。






今まで立っているのがやっとだったあたしの両足は、とうとう力を失ってその場に崩れ落ちた。




「………なんでぇ……」





なんでこうなるの?


どうして上手に気持ちを伝えられないんだろう。



いつもいつも想っているのとは反対の方へ進んで行ってしまう。




も……
やだ………




「…っく……ウ…」




苦しい…
苦しいよ……





要のいなくなってしまった部屋に残る、その甘い香りにあたしはむせ返りそうになった。



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