オオカミ系幼なじみと同居中。
・空に手をかざして
2学期最後の日、あたしは重い足で学校の門をくぐった。
明日から冬休みと言う事もあって、あちこちから楽しそうな声が聞こえてくる。
あたしには、すごく憂鬱だった。
明日から、毎日要と顔を合わせるんだ。
こんな気まずい状態で…
「未央ぉ!」
他の生徒の間から聞きなれた声がして、あたしは声のした方へ視線を向けた。
「早苗!!」
振り返ると、丁度早苗がこちらに向かって走ってくるところだった。
肩で息をしていた早苗は、深く息を吸い込むと「おはよ」と笑った。
あたしも笑顔で早苗に答え、あたし達は教室へ向かった。
教室に入ると、もうすでに旬は来ていて数人の友達に囲まれていた。
旬は、あたしに気づくとにっこりと笑って片手を挙げた。
昨日のメールがふと頭によぎった。
あさってのクリスマス……
あたしはどうしたいんだろう。
また友達と楽しそうに笑っている旬をあたしはぼんやり眺めた。
体育館で終了式が行われた。
全校生徒が集まった体育館で、あたしの目は迷わず要の姿を見つけた。
まるで吸い寄せられるかのように。
校長先生の長い話をダルそうに聞いている要。
両手をポケットに突っ込んで時々あくびまでしている。
あの無造作にセットされてる黒髪。
その間から覗く、子犬のような瞳。
長身に細身のライン。
こうして見ると、要って目立つなぁ。
あたしとは、生きてきた世界が違う感じ…。
あれから、要はあたしより先に家を出たんだ。
なんだかこのまま、あたし達にできた溝が広がっちゃう気がする。