黒姫

深く追及することはせず、那央は透の部屋を出て行った。

再びひとりになった広い部屋の、ベッドに倒れ込んで天井を睨みつける。


「……俺に何が出来るんだよ……」


思わず漏れた独り言に頭が痛くなり、ベッドの上で膝を抱えた。


「本当……何が出来るっていうんだ」


せいぜい瑞姫が無理をしないように気を使う程度しか出来ない。
瑞姫が受け身である事には介入出来ないのだ。


那央が出て行ってからしばらく、透はそうして頭を抱えていた。

翌日には更に頭痛の種が増えることも知らずに。

< 116 / 236 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop