黒姫
抵抗する暇もなく、抗えない程の力で引きずられた。
後ろからでは男も女も判らないが、恐らくこの力からして男だろう。
連れていかれた先はスーパーの駐車場だった。
昼間や休日はそれなりに使われているらしい駐車場だが、この時間になると車は一台もない。
なんせ閉店間際も良いところなのだ。
「……天宮を、敵に回すの?」
口を離された瞬間、本気で相手を哀れんだ声が出た。
天宮を、敵に回す。
瑞姫にどのような形であれ手を出せば、天宮財閥によって社会的抹殺が可能だと何故気付かない。