黒姫

「ちょ、ちょっと……!」
「えっ……待って、どういうこと!?」


真奈と鈴羅の慌てた制止の言葉は、教室の雰囲気の中、敢え無く消えた。


騒がしくなる教室。
誰かが投げた毒は、あっという間に浸透して、もはや『瑞姫を教室から消す』という悪質な行為に疑問を持つ者は、ほとんどいなかった。

まともな疑問を持ったのは、鈴羅と真奈だけだ。
後の人間は、瑞姫の悪口や今後の計画を話すことに夢中になっている。


それに参加していないのは、鈴羅と真奈と……表情の読めない顔をした、薫だけだった。

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