黒姫
第5章

「あ……日直」


朝。登校して何気なく黒板に目をやると、そこに自分の名前があることに、瑞姫は気付いた。
席順の関係で、黒瀬と書かれた隣には、加藤と書かれている。

ちなみに今日は下駄箱がごみ箱になっていたので、事務室に直行して来客用のスリッパを履いている。
要するに下駄箱にゴミが仕込まれていたという嫌がらせな訳だが、瑞姫本人はあまり気にしていない。

日直日誌を教員室まで取りに行ったついでに、担任に事務員にも告げた、下駄箱がごみ箱という現状を告げておく。
教師は瑞姫の戸籍が、あの天下天宮とも呼ばれる天宮家に在ることを知っているためか、顔色がかなり悪くなっていた。
この様子だと、ゴミ塗れになった上履きを弁償しそうな勢いだ。

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