二手合わせ
時計の価値も知らん。
動作が洗練されとるわけでもない。
教養は無い、と思っとったけど………聡い。
ホンマ分からへん。
弱そうなんに我は貫くし、目ぇ見えんようなっても泣かん。
「どうすんねん、副長」
「……新八はアイツを気にかけてる。連れてきちまったのは新八だからな。だから……新八にゃ何も知らせず、アイツを任せる」
「ああ、無理に信用させようとしてもバレるんやろうな」
後は、恵梨ちゃんが思惑通りに永倉さんを信用して、何もかも話してくれるかやな。
副長が筆と硯を片付け始めた。
「仕事終わったん?」
「ああ、よし、寝るぞ。帰れ」
「帰れ、て…!」
眠かったのか、俺は乱暴に閉め出された。
酷い人やな…。
俺も寝るか。