二手合わせ




「え、恵梨だけど……マキ?…だよね?」


緊張と期待で震える声で答える。

すると


『うんうん、マキです!良…かったぁ~!恵梨がいきなり居なくなって、電話も何回かけても繋がらないし…』

「マキ…」


涙声になったマキ。

本当に…マキだ。
電話、繋がってるんだ…。

ケータイを握る手にグッと力を込めた。


『恵梨、今何処にいるの?警察も今、恵梨のこと捜してるけど、見つからないし、学校でもちょっとした騒ぎになってるよ…』

「…うん、あのさ、私もよく分からないっていうか…理解出来ないんだけど」

『うん』

「150年前の京都…新撰組の所に、私、居るみたい…なんだよね」


ゆっくり、そう言うと
マキは黙った。

しばらく沈黙が続いたけれど、マキが沈黙を破った。


『150年前…新撰組?え、タイムスリップってこと?』

「うん…。なんかね、気付いたら桜の木の前にいて、おかしいと思ったの。だって、元の時代じゃあ夏だったもん」

『……』

「そこで、新撰組に捕まっちゃって…、本当のこと言っても、殺されそうじゃない?だって……誰が信じるの?私が150年後から来たって…」




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