たぶん恋、きっと愛



帰宅するなり、凱司は。

嬉しそうに玄関に出迎えた雅の頭を、真上から掴んだ。



「……お、かえりなさ…ぃ?」

怪訝そうな雅の表情も、黙ったままの凱司に、だんだんと不安げに変わる。



「……ああ」

「…どうしたの、か…聞いてもいい…ですか?」

「駄目だ」

「……駄目」



しゅん、と視線を下げた雅の頭を乱暴にかき回してから手を離すと、凱司はようやく靴を脱いだ。



「鷹野は?」

「コーヒー、淹れてくれてます」


凱司の後ろを、叱られた子犬のようについて行きながら、雅は乱れた髪を撫でつけた。




 

< 181 / 843 >

この作品をシェア

pagetop