たぶん恋、きっと愛


百歩譲って“パパ”と呼ぶのはいいとしても、連呼しなくても良いのではないだろうか。

そして誰も居ない所でそう呼ばずとも良いのではないだろうか。


更にこの“パパ”は父親ではなく援助者の“パパ”ではなかろうか。



「絶対に誤解をしています。父親に敬語を使いながら甘える娘はいません」


「そう…なんですか…」


あからさまにがっかりした雅は、宇田川の膝に手を置いたまま、こうだとばかり思ってましたと、困ったように笑った。


「じゃあ、あたし、お風呂見てきて良いですか?」


ようやく離れた雅にほっとして、宇田川は頷いた。

「ゆっくり、入って来てください」

「パパは?」

「ですから部屋内でパパは…」



「壁には目があって障子には耳があるんですよ?」


もっともらしく間違えた事を笑顔で言う雅は、可笑しそうに、ちょっと気に入りました、と。


悪戯っ子のように、笑った。



 
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