たぶん恋、きっと愛


「……」

「雅、来い」



眉間にシワを寄せて髭をひねり、煮え切らない宇田川に、凱司は雅を呼びつけた。

見上げたまま、一瞬困った顔をした雅の髪を撫で、鷹野は苦笑混じりに、何したの、と囁いた。



「雅!」

「はいっ」


語気の強くなった凱司に、思わず返事をし、雅は渋々立ち上がる。

振り向いて見た凱司の目には、雅の思っていたほどの怒りはなく、それでも小走りに宇田川の背後にまで近づいた。



「お前、何した」


「……温泉、…入りました」


「宇田川が入ってるとこに全裸で乱入でもしたのか?」



わかっているキーワードは、“温泉”だけだ。


「なんて発想するんですか」


呆れたように、宇田川が口を開いた。

問題は入浴後です、と。

背後に隠れるように立つ雅の腕を引っ張り、凱司の前に押し出した。


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