たぶん恋、きっと愛
「埃んなってるから、あんま触んな」
まじまじとブレスレットを手に取り、眺めている雅から、取り上げた。
「そうだ、友典さん大丈夫ですか?」
長い指を曲げたり伸ばしたりしながら凱司は、ああ大丈夫だ、と息をついた。
「…息吹は抜け出すわ、宇田川は返り血浴びてくるわ、友典は爪剥がすわ…。ったく……散々だったな…」
「友典さん“大丈夫”じゃないじゃないですか!!」
「息吹どこ行った!?」
一斉にあがった声が重なり、凱司は面倒そうに、二人を見やると、無言で深くため息をついた。
「息吹は、すぐ宇田川が見つけた。返り血浴びて来たって言ったろ。監視してた奴が使いもんにならなくなってた」
「…宇田川さん怖ぇ…」
鷹野が頬を引きつらせ、黙ると、凱司は雅に視線をやる。
「友典は、すぐ病院連れてった。全部、爪剥がしたから、綺麗に元に戻る」
「…痛そう…」
「まぁ痛ぇだろな。でも、死にゃしねぇから“大丈夫”なんだ。わかったか?」
ひとつひとつ丁寧に言い含めた凱司は、きつく金髪をかきあげると、もういいだろ、と紅茶に口をつけた。